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法定後見制度の申立て手続きの流れ

今回は、申立書類一式の準備がすでにできていることを前提として、申立てから後見人等が就任するまでのお話をしたいと思います。

まだ、申立書類一式の準備が出来ていない方は、こちらの記事を参考に準備していただければと思います。

なお、この記事は東京家庭裁判所および立川支部の管轄における申立を想定しています。
各裁判所によって手続きに少しずつ違いがありますのでご注意ください。

1.注意事項の再確認

申立手続きに入る前に、注意事項の再確認です。
・申立を行った場合、手続きの途中で自由に取り下げることは出来ません。取り下げには家庭裁判所の許可が必要です。

・後見人等候補者に自分や親族を記載したとしても、その候補者が後見人等に選ばれるとは限りません。

また、後見人等に選任されたとしても、本人の財産や収支、申立目的(遺産分割や不動産売却など)によっては、第三者の監督人が選任される可能性があります。

・不動産売却など、後見人等選任の申立ての当初の目的を達成したとしても、原則として、後見人等は本人が亡くなるまで続きます。

2.裁判所への連絡

注意事項の確認が出来たら、申立手続きに入ります。

まず、申立書を提出する前に、管轄の家庭裁判所に電話をして、家庭裁判所の調査官との面談のための予約を取ります。

この面談には、本人、申立人、後見人等候補者が出席することになりますが、本人が入院等の理由で容易に裁判所まで来ることが困難な場合等は、本人の出席は不要です。

また、予約の際には管轄の確認、申立人と本人との関係、申立を行う類型(後見、保佐、補助)、後見人等候補者の有無等の確認があります。

3.裁判所への書類郵送

面談の予約が取れたら、申立関係書類一式を家庭裁判所に郵送します。

遅くとも面談予約日の3日前までには到着するように送ります。

事前に送ることにより、裁判所で内容等の確認をしてくれます。

書類を当日持参することも可能ではありますが、裁判所で書類の確認をした上でないと面談を開始できませんので、かなりの時間待たされることを覚悟してください。

また、書類は郵送前に一式コピーを取っておいてください。

4.面談①

予約当日の持ち物は、申立書のコピー、申立書に押した印鑑、本人確認のための身分証、その他裁判所に指示された物を忘れずに持っていきます。

面談では、申立人は、提出してある「申立事情説明書」に基づいて、申立てに至る事情、本人の生活状況、判断能力及び財産状況、本人の親族らの意向等について聞かれることになります。

後見人等候補者は、「後見人等候補者事情説明書」に基づいて、法的に後見人等になることが出来るかの欠格事由の有無、および本人の後見人等になることが適当かどうかの適格性に関する事情等を確認されます。

面談時間は、内容にもよりますが1時間くらい。
本人面談もある場合はさらに30分くらいはかかります。

5.面談②(本人面談)

本人の意思を尊重するという観点から、直接本人に申立の内容等について意見を聞く場が設けられることがあります。

この面談は上記4の面談に本人が出席する場合は、その際に同時に行われることがほとんどですが、出席していない場合は、別途日程を設定して面談が行われます。

本人が家庭裁判所に来所するのが困難な場合は、病院施設等に裁判所調査官が出向いて面談を行うことになります。

なお、この本人面談は必ず行われるわけではありません。

例えば後見類型の場合、申立の内容等について本人に意見を求めても、その内容を理解していない場合も多いため、面談が行われないことが多いようです。

逆に必ず本人面談が行われるのは、申立の類型が保佐または補助の場合です。

保佐、補助の場合は、保佐等開始の審判と共に、代理権や同意権の付与の審判も行われます。

そして、どの代理権、同意権を付与するかを決めるには、必ず本人の同意が必要となります。

そのため、調査官が、申立の際に提出した「代理行為目録、同意行為目録」の内容について、本人に確認するために、本人面談は欠かせないのです。

6.親族の意向調査

次に行われるのが、親族に対する意向調査です。
これは、「本人に対して成年後見人等が選任されること」と、後見人等候補者が記載されている場合に「その後見人等候補者が後見人等に選任されること」について同意するかの確認です。

この調査の範囲ですが、基本的には推定相続人(今、本人が亡くなった場合に、相続人になる人)にのみ行っているようです。

この意向調査は、申立時に同意書を提出している場合は、同意しているものとして基本的には改めて調査は行われません。そのため、手続きに掛かる時間も短縮されます。

7.鑑定

裁判所が本人に対し、鑑定が必要だと判断した場合、医師による鑑定が行われます。

申立書提出時に出した診断書付票には、鑑定が行われる場合に、診断書を書いた医師が引き受けてくれるかどうか及び鑑定費用についての記載があり、その医師が引き受けてくれる場合は、その医師が、記載された費用にて鑑定をしてくれることになります。

費用は5万円から10万円が相場です。

なお、診断書を書いた医師が、鑑定を専門外などの理由で引き受けられない場合は、その医師が紹介してくれる医師がいればその医師に鑑定をお願いすることになります。

鑑定費用は、裁判所から送られてくる払込書で支払い、鑑定をしてくれる医師と日時調整の上、鑑定をしてもらいます。

もし、鑑定になると日程調整、鑑定、鑑定書作成と時間が掛かるため、少なくとも通常の期間プラス1か月は覚悟した方がいいかもしれません。

8.審判

審理や調査が完了すると、裁判所が全てを総合的に判断した上で、本人に後見等開始の審判をし、本人にとって適任であると考えられる人物を後見人等に選任します。

場合によっては後見人等候補者以外の第三者が選任されたり、複数の後見人が選任されたり、監督人が付く場合もあります。

このあたりは裁判所の裁量になりますが、後見人等候補者を後見人等に選任した上で、監督人を付けるか、または後見制度支援信託の利用をするかを選択させてくれることも多いようです。

また、保佐および補助の場合、上記審判と併せて代理権、同意権の付与の審判もなされることになります。

9.審判書の送達から確定まで

上記審判がなされると、申立人、本人、後見人等に対して審判書謄本が送付されます。

この審判書が届いたら、正式に後見等が開始し、後見人等の仕事が始まると思われている方も多いようですが、実際は、この審判書謄本が申立人等に届いてから2週間経過して、その間に不服申立がなされなかった場合に初めてこの審判は確定します。

つまりこの2週間は不服申立(即時抗告)のための期間です。

ただし、ここでの不服は後見等を開始することへの不服であり、だれを後見人等に選任したかについての不服は認められていませんので注意してください。

10.登記、職務開始

審判が確定すると、裁判所から法務局に登記の嘱託がなされ、審判の内容が登記されます。

後見人等は特段この登記がされるのを待つまでもなく、確定日以降であれば後見人等としてその職務を行うことになりますが、後見人等が職務を行う場合、その権限を証明する必要があります。

通常、その証明書類が法務局の発行する登記事項証明書になるのですが、審判の確定から登記されるまでには多少の時間が掛かってしまいます。

もちろん、登記されるまでは登記事項証明書を発行してもらえません。

審判の確定から登記されるまでの期間ですが、裁判所から審判書と一緒に送られてくる案内には「審判書謄本を受け取ってから4,5週間」と記載されていますが、混み具合にもよるとは思いますが、当窓口の経験ではおおよそ1週間以内には登記されています。

もし、後見人等としての職務を至急行う必要があるけども、まだ登記がなされていないような場合は、家庭裁判所に審判が確定したことの証明書を発行してもらいましょう。

この確定証明は、確定日から即日発行可能です。

送られてきた審判書謄本と確定証明書があれば、登記事項証明書と同様に、金融機関等での手続きを行うことができます。

そして、ここからは、正式に後見人等として、まずは初回報告のため財産や収支状況等の調査をしていくことになります。

いかがだったでしょか。

申立から審判が出るまで問題がなければおおよそ1、2か月といったところでしょうか。

ただし、鑑定が必要な場合はさらに1ヶ月以上掛かる場合もあります。

そして、後見人等が正式に職務を行うには、審判が出て、審判書が申立人等に送達されてからさらに2週間という時間が必要となります。

重要財産の処分や、何かしらの契約、財産管理などで、急に後見人等の選任が必要となった場合でも、これだけの時間が掛かってしまいます。

何か起こってからではなく、起こる前に、少しずつでもこれからのことを考えて、準備されておくことをお勧めします。

この記事を読んで、自分にも出来そうだと感じられた方は、ぜひチャレンジしてみてください。

ちょっと難しそうだ、不安だと感じられた方は、是非、当窓口にご相談ください。

成年後見の申立て業務に特化した司法書士が、後見人等が選任されるまで、スムーズに手続きが進むようにサポートさせていただきます。

私たちのサービスが、お役に立ちますように。

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