相続対策や生前の財産活用する場合において、「贈与税」は非常に注意をしなければいけない存在です。

不動産などの財産を贈与した際に、「贈与税はかからない」と誤解していた場合や、専門家以外の第3者から「税金はかからないし、ばれないよ!」などといった言葉を鵜吞みにしてしまった場合など、後々、多額の贈与税を払うことになるケースがあります。

予想外の税金が発生しないようにするためには、「贈与税」の仕組みやポイントをしっかりと理解しておくことが大切です。

今回は、贈与税について知っておくべき3つのポイントをご説明します。

ポイント① 贈与税の仕組みを確認しましょう。

1.贈与税とは?誰が払うの?

贈与税とは、「個人」から財産をもらったときにかかる税金です。

贈与とついている税金なので、「あげた人=贈与者」が税金を払うと誤解されている方もいらっしゃいますが、「もらった人=受贈者」が贈与税を払うことになります。

また、「個人」から財産をもらった際にかかる税金なので、「法人」から財産をもらったときには、「贈与税」は課されません。

「法人」から財産をもらえば税金は「タダ」になるわけではなく、「所得税」がかかることになります。

◆ 財産を「個人」からもらった → 贈与税
◆ 財産を「法人」からもらった → 所得税


2.贈与税の計算はどうするの?(暦年贈与)

贈与税の計算は、1人の人が【1月1日から12月31日までの1年間】にもらった財産の合計額から「基礎控除額の110万円」を差し引いた残りの額に対してかかります。

したがって、1年間にもらった財産の合計額が「110万円以下」なら贈与税はかかりません。

贈与税がかからないということは、イ贈与税の申告が、「不要」ということです。

例えば、1月1日から12月31日までの1年間に、お子様に現金で100万円のみを贈与した場合は、基礎控除額(110万円)以下なので、贈与税はかからない、ということになります。

3.いつ申告するの?

贈与税がかかる場合には、財産をもらった人(受贈者)が、税金の申告と納付をする必要があります。

申告との納付は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行うこととなります。

ポイント② 贈与税がかからないもの(非課税)

贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については、贈与税がかからないことになっています。

1.法人からの贈与により取得した財産→ 贈与税は個人から財産を贈与により取得した場合にかかる税金であり、法人から財産を贈与により取得した場合には「贈与税」ではなく「所得税」がかかります。


2.夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

3.宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う一定の者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なモノ

4.奨学金の支給を目的とする特定公益信託や財務大臣の指定した特定公益信託から交付される金品で一定の要件に当てはまるもの

5.地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が心身障害者救済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利

6.公職選挙法の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し取得した金品その他の財産上の利益で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの

7.特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権

8.個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの

9.直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

10.直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

11.直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすものとして、贈与税の課税価格に算入されなかったもの

12.相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産

ポイント③ 贈与税の税率を知っておこう(平成27年度以降改正)

平成25年度税制改正により、平成27年1月1日以後の贈与税の税率が「一般贈与財産」「特例贈与財産」の2区分となりました。
(↓図はクリックすると拡大します)

1.一般贈与財産

兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で未成年者の場合などに使用します。
図①_一般贈与財産.jpg

2.特例贈与財産

直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。
図②_特例財産贈与.jpg

3.計算例

贈与税の計算は、次のステップで計算を行います。



STEP1 基礎控除後の課税価格の算定
図のように、贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除額110万円を引いて算定します。
図③_基礎控除後の課税価格の算定.jpg

 例えば、500万円の現金の贈与を受けた場合。
図④_課税価格具体例.jpg

課税価格は390万円となります。

STEP2 贈与税の税率をかけ、税額を計算します。
一般贈与財産である場合 基礎控除後の課税価格が400万円以下であるため、税率は20%となります。
図⑤_一般財産贈与の贈与税額.jpg

特例贈与財産である場合 基礎控除後の課税価格が400万円以下であるため、税率は15%となります。
図⑥_特例財産贈与財産の贈与税額.jpg
一般贈与財産と特例贈与財産の両方が混在する場合 両方が混在する場合、少し複雑な計算になるため、税理士などの専門家にご相談をされることをおススメします。

いかがでしたでしょうか。
贈与税は、相続税に比べて多くの方に発生する可能性があり、また予想外に発生してしまうことがある税金です。
大切な財産を贈与する場合や、相続税対策などの理由で不動産の名義を変更する場合には専門家のアドバイスを受けることが一番と言えます。

税金の世界では「そんなつもりではなかった!やり直したい!」は通用しません。

ですから、取り返しがつかないことになる前に、費用対効果を考えて、しっかりとアドバイスを受けることをおススメします。

当窓口でも、税理士による贈与税・相続税の無料相談をご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

私たちのサービスが、お役に立ちますように。

 

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子供や孫に金銭などを贈与する場合、相続対策や諸事情により、「相続時精算課税制度」という制度を利用することがあります。

この「相続時精算課税制度」は、その利用目的によっては、とても効果的であるため、利用される方が多くいらっしゃいます。

しかし、制度の利用にあたっては、その効果はもちろん、メリットやデメリットもしっかり理解しておく必要があります。

今回は相続時精算課税制度」の大切なポイントと制度を利用した際の、メリット・デメリットを確認しましょう

ポイント① 相続税精算課税制度の概要

そもそも「相続精算課税制度」とは、具体的にはどんな制度なのでしょうか?

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母・祖父母から、20歳以上の子・孫に財産を贈与した場合に【2,500万円】までは贈与税がかからず贈与できる制度です。
※2,500万円を超えた部分については、一律20%の贈与税がかかります。

2,500万円まで「贈与税」がかからずに贈与できるのであれば、すべての贈与について、「相続時精算課税制度」を利用して財産を贈与した方が、お得な気がするはずです。

しかし、「相続時精算課税制度」という言葉のとおり、この制度を利用して贈与した財産は、相続の際に「相続財産」に贈与した財産の金額を加えて「相続税」の計算をする必要があります。

ですから、場合によっては、この制度を利用したことで「相続税」が発生してしまう可能性もあるのです。

※相続税の計算上、贈与財産の価額は「贈与時(その当時)の時価」を加算します。
図①_暦年課税と相続時精算課税の選択.jpg

(↑クリックすると拡大します)

ポイント② 相続時精算課税制度の利用方法・効果・要件

◆ 利用方法について
相続時精算課税制度を利用する場合には、贈与を受けた年の「翌年の2月1日から3月15日の間」に「贈与を受けた方」が、贈与税の申告書を提出する必要があります。

具体的には、相続時精算課税制度を利用しようとする受贈者(子または孫)は、その利用に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に、納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を、受贈者の戸籍謄本など一定の書類とともに「贈与税の申告書」に添付して提出することになります。

◆ 効果について
この制度を利用すると、その後は、贈与者から贈与を受ける財産については、全てこの制度が適用され、通常の「暦年課税」へ変更することはできません。

そして、ポイント①でご説明したとおり、贈与者である父母または祖父母が亡くなった場合、相続税の計算上、相続財産の価額に「制度を適用した以降の贈与財産の価額(贈与時の時価)」をすべて加算して相続税を計算します。

つまり、相続時精算課税の制度は、贈与税・相続税を通じた課税が行われる制度といえます。

◆ 要件について
◎適用対象者
贈与者(特定贈与者)
→ 贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母

受贈者(相続時精算課税適用者)
→ 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人または孫

◎適用となる対象財産など
贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

ポイント③ 相続時精算課税制度の利用は取り消せない!

相続時精算課税制度は、受贈者(子または孫)が贈与者(父母または祖父母)ごとに選択できますが、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、通常の暦年贈与制度に変更することはできません。

ここで1つ具体的な計算例を見てみましょう。

(例)  父より1年目に1,500万円の贈与、2年目に1,000万円の贈与、3年目に1,000万円の贈与を受ける場合において、1年目に相続時精算課税を選択したとします。
この場合、贈与税の計算式は、以下のとおりになります。
(↓クリックすると拡大します)

図②_相続時精算課税制度利用時の税額.jpg

図③_暦年課税時の税額.jpg

3年目に、基礎控除の110万円を受けることはできません。

ポイント④ 相続時精算課税制度のメリットを知っておこう

相続時精算課税制度のメリットについて、代表的な4つを確認しておきましょう。

メリット1 2,500万円まで非課税で贈与可能
相続時精算課税制度の最大のメリットは、2,500万円までの贈与であれば、「贈与税」がかかりません。

メリット2 好きなタイミングで財産を贈与出来る
相続時精算課税制度は、一度選択すると2,500万円という特別控除額は、生涯使うことができます。
例えば、今年1,500万円の現金、来年200万円、再来年300万円というように、好きなタイミングで贈与することができます。

メリット3 収益物件の贈与は、相続税対策になる可能性がある
賃貸物件など収益が発生する財産を、相続時精算課税制度を利用して子や孫へ贈与することで、贈与を受けた子や孫が「贈与後」のすべての収益を受け取ることができます。
このことにより、父母や祖父母に収入が蓄積されず、子や孫に貯まるため、中長期的な相続税の対策となります。

メリット4 値上がりする可能性が高い財産を贈与することで相続税対策になる
相続時精算課税制度は、相続が発生した場合、この制度を利用した財産を相続税の計算に含めます。
そして、含めるときの「時価」は、「贈与時点の時価」を用いることとなります。

そのため将来値上がりするような財産をこの制度で贈与をし、その後値上がりした場合、「贈与時点の時価」で評価できるため相続税の計算上有利になることがあります。

ポイント⑤ 相続時精算課税制度のデメリットも知っておこう

相続時精算課税制度のデメリットについても、代表的な4つを確認しておきましょう。

デメリット1 一度選択したら暦年課税には戻れない
相続時精算課税制度を利用した場合、後から不利であることに気づいても通常の「暦年贈与」に戻すことができません。

デメリット2 申告の手間が増える
相続時精算課税制度を利用した場合、少額の贈与であっても申告する必要が出てきます。

通常の暦年贈与であれば、基礎控除額の110万円以下である場合は、申告は必要ありませんが、相続時精算課税制度を利用した場合には、110万円以下の贈与であっても申告をする必要が出てきます。(厳密には5万円程度の贈与でも申告が必要になります)

デメリット3小規模宅地等の特例との併用不可
相続時精算課税制度を利用して「土地」を贈与する場合には、相続の際に「小規模宅地等の特例」が適用できなくなります。

この影響は非常に大きく、相続時精算課税制度を利用してしまったことで、相続税が過大に発生してしまう可能性があります。

不動産を贈与する場合には、専門家に相談をするなど、慎重に判断されることをおススメします。

デメリット4 相続時に税金が発生する可能性がある
相続時精算課税制度を利用した場合、相続が発生した際に贈与した財産を相続財産に加える必要があります。

2,500万円までは「贈与税」が無税であったとしても、相続財産に足し戻した結果、相続税が発生することもあります。

いかがでしたでしょうか。
相続時精算課税制度は、とても効果的な制度であると同時に、相続税等との関係から、その利用については、慎重に検討する必要があるといえます。
税金の世界では、制度の利用は自己責任であり、「知らなかった!よく理解していなかった!」は通用しません。

ですから、取り返しがつかないことになる前に、費用対効果を考えて、しっかりとアドバイスを受けることをおススメします。

当窓口でも、相続時精算課税制度を含め、税理士による贈与税・相続税の無料相談をご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

私たちのサービスが、お役に立ちますように。

 

 


「自分が死んだときに、残された家族が相続税で困らないだろうか・・・」

「父が亡くなってしまったら、相続税はいくらかかるのだろうか・・・」

この様なお悩みをお持ちの方は、実はたくさんいらっしゃいます。

「どうやら税理士に相談すれば良いらしいけど・・知り合いもいないし、料金も高そうだし・・・」と二の足を踏んでいる皆様、できるところまで自分で計算してみましょう。

相続税の計算は確かに複雑ですが、細かな話を抜きにして「相続税がかかるの?かからないの?」くらいの計算であれば、誰でもできます。

早速、次の必要書類を用意して、4つのステップで計算してみましょう。

☆必要書類
・固定資産税の課税明細書(毎年5月~6月頃に送られてくるもの)
・預貯金、株式、国債等の資料
・ローン・借入金の返済計画書


ステップ①

一般的に、財産の中で一番大きな比重を占めるのは不動産です。

そして、計算が一番難しいのも不動産です。

不動産の価値を計算する場合、正確には国税庁が発表している「路線価」という1㎡単価を基に計算します。

※路線価は国税庁のホームページでご確認いただけますので、ご興味のある方はこちらへどうぞ

路線価で計算するのは難しいので、ここでは「固定資産税評価額」を用いて計算しましょう。

お手元に用意した課税明細書は、土地・建物ごとの明細になっているはずです。
その中で、各土地・建物の「評価額」の項目を探して見て下さい。

市区町村によっては「価格」「価額」等と書いてあるかもしれません。
※「課税標準額」は無視して下さい。

評価額が見つかりましたら、次の計算をしてみてください。

土地 ➡ 評価額×1.2
建物 ➡ 評価額×1.0(評価額のまま)


 この結果が、皆様の不動産の「相続税評価額」となります。 

ステップ②

その他の財産(遺産)を計算する
その他の財産は簡単です。

預貯金 ➡ 残高通り
国債・社債 ➡ 額面通り
上場株式 ➡ その日の取引価格×株数

★生命保険は、被相続人が保険料を負担していたものが相続財産となります。

被保険者が被相続人 ➡ 保険金(ただし500万円×法定相続人数の非課税枠あり)
被保険者が被相続人以外 ➡ 解約払戻金

上記の計算ででた金額をすべて合計したものが、不動産以外の財産の評価額となります。

ステップ③

ローンや葬式費用計算する 借金やローンがある場合、相続財産から差し引くことが出来ます。

差し引くことができるのは借入金(事業用の借入金や住宅ローン、自動車ローン等)、ツケ、未払金などです。

返済計画表などで残高を確認しましょう。 

※なお、住宅ローン等で団信に加入している場合は借金「ゼロ」で計算して下さい。

ステップ④

基礎控除を計算する 相続税には、財産が一定額になるまでかからないハードルのようなものがあります。

このハードルのことを「基礎控除(きそこうじょ)」と呼びます。そして、基礎控除の計算方法は、次のとおりです。

3,000万円+600万円×法定相続人数

法定相続人とは、誰かが亡くなったときに自動的に相続人となる方のことです。

一般的な相続の場合、「配偶者(奥様や旦那様のこと)と子ども」が相続人になります。

例えば、夫婦と子ども2人の家庭の場合、お父さんが亡くなった際の相続人は妻と子ども2人の計3人です。

この時の基礎控除は 3,000万円+600万円×3人=4,800万円 となります。

ここまで計算できたら、最後に次の算式に当てはめてみましょう。

①+②-③-④=「●●●●」円


いかがでしたか?

結果が、正の値(プラス)で残った場合あなたは相続税がかかります。

負の値(マイナス)になった時は、相続税はかからないと考えてよいでしょう。

相続税がかかるという結果になった場合でも、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」または「生前からの対策」によって相続税を減らすことができる可能性があります。

正確な算出については、ご家庭の事情や財産によって異なりますので、税理士へ個別のご相談をされることをお勧めします。

当窓口でも、パートナー税理士による「相続税」のご相談をお受けしておりますので、
お気軽にお問い合わせください。

私たちのサービスが誰かのためになりますように。

※当コラムの計算式は、簡便さを重視した概算計算です。正確な金額を知りたい場合には、税務署や税理士にご相談下さい。


相続が発生すると、亡くなった方について、「準確定申告」をしなければならない場合があります。

しかし、当窓口のご相談者様の中にも、突然相続が生じたため「準確定申告」の具体的な手続きはもとより、何をどこに申告すれば良いか分からないという方が比較的多くいらっしゃいます。

今回は、「準確定申告」にテーマを絞って、知っておくべき3つのポイントを確認していきましょう。

1.準確定申告と確定申告は、基本的に同じ

亡くなった人にかかる所得税の確定申告のことを、「準確定申告」といいます。

そして、準確定申告をしなければならない人は、通常の所得税の確定申告をしなければならない人と同じです。

※確定申告をしなければいけない方の具体例は、以下のとおりです、

◆ 事業所得や不動産所得がある方
◆2か所以上から給料をもらっている方
◆ 給与が2,000万円を超える方
◆ 不動産を売却した方       など

準確定申告では、通常の所得税の確定申告と同様に、所得控除を受けることができます。

ただし、所得控除は、「亡くなった日まで」の分までしかできませんので、注意しましょう。

所得控除の具体的な例としては、以下のものがあげられます。

◆ 亡くなった日までに支払った金額で控除を受けられるもの
・医療費控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄付金控除

◆ 亡くなった日の状況で控除を受けられるもの
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・障害者控除

なお、住宅ローン控除については、亡くなった日現在において「借入残高」がある場合に限り受けることができますが、通常は「団体信用生命保険(団信)」に加入している方が多いため、当該保険により借入金が完済され、控除を受けることができないケースが多いです。

2.準確定申告書の提出期限と納税方法

亡くなった方の準確定申告書は、誰がいつまでに提出する必要があるのでしょうか?

通常、ご存命の方の確定申告は、翌年の2月16日~3月15日までの間に、ご自身で申告と納税を行う義務があります。

準確定申告の場合は、その所得税の申告と納税をすべき方が亡くなっているので、相続人が、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、申告および必要に応じて納税を行うことになります。

例えば、Aさんが5月15日に亡くなったケースで、相続人がBさんと仮定します。

この場合、相続の開始があったことを知った日(5月15日)の翌日(5月16日)から4か月以内(9月15日まで)に、BさんはAさんの準確定申告書を提出し、必要に応じて納税をしなければなりません。

ちなみに、1月1日~3月15日までの間に、確定申告書を提出しなければならない人が、確定申告書の提出期限までに申告をしないで亡くなった場合は、相続人は、亡くなった方の前年分と本年分(1月1日~亡くなった日まで)を、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告しなければなりません。

また、亡くなった方が消費税の納税義務者だった場合は、1月1日から亡くなった日までの事業所得や不動産所得について、消費税の申告も行わなければなりません。
そして消費税の申告は、準確定申告同じく、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に、申告・納付を行う必要があります。

次に、「準確定申告分の所得税は誰がどこに納税するか」ですが、亡くなった方の所得税の納税は「相続人」がする必要があり、相続人が2人以上いる場合は、納付税額を按分して、各相続人が納付することとなります。

※按分の方法は、法定相続分又は遺言による指定相続分がある場合には、指定相続分により按分して計算した額になります。

また、納税する場所ですが、準確定申告書は、亡くなった方の死亡当時の住所地の所轄税務署へ提出し、必要に応じて納税をすることになります。

相続人の住所地の所轄税務署ではないので、注意しましょう。
※平成28年分の準確定申告書から相続人全員のマイナンバーの記載が必要となりました。

3.準確定申告と相続税の関係

準確定申告に基づき納付した所得税は、相続税の課税価格の計算上、債務控除として相続財産から控除することが出来ます。

逆に、申告をしたことにより税金が還付された場合は、還付を受けた所得税は、相続財産の課税価格の計算上、相続財産に加算されることになります。

※消費税の納付・還付についても同じ様に、債務控除または相続財産に加算されます。

相続が発生した場合には、葬儀や遺品整理、名義変更など手続きを取らなければならないことがたくさんありますが、所得税の準確定申告も、4か月以内に行わなければなりませんので、比較的早めに対応をする必要があります。

また、個人の所得については、ご本人様以外把握していないケースも少なくありません。専門家と連携し、期限内にしっかりと対応をすることが大切です。

当窓口では、パートナー税理士による準確定申告のご相談はもちろん、相続税に関するご相談にも対応が可能です。お気軽にお問い合わせください。

※当記事は平成29年5月現在の法令に基づき作成しています。実際の対策時には、税理士等の専門家へのご相談をおススメします。